今やトレセン以上とも呼ばれるノーザンファームの外厩含め、外厩の重要性が高まっています。このページでは外厩に関する情報をまとめたいと思います。

一昔前までは、外厩は放牧先のイメージでしたが、今は厩舎の馬房回転などを踏まえてトレセン以外での鍛え方が重要となってきました。また2歳のデビュー前の鍛錬も早期デビューに向けて重要なポイントになっています。

なお、レースに出走するにはレースよりも10日前(初出走の場合は15日)にトレセンに入厩している必要がある。

外厩が重要度を増しているポイントを少し振り返ると、

  • 2004年に導入された「調教師のメリット制(成績によって管理馬房数が増減する)」により、調教師は優秀な成績を上げると同時に、優秀な調教師には管理依頼が増加する。そこで馬房数が足りず馬房回転の方法として外厩を活用
  • 外厩ならば、トレセンとは違った独自調整ができる(より急な勾配の坂路など)
  • 管理費も安い。これはJRAのトレセン保護のためお役所体質の変な制度の狭間の印象、コスト削減
  • 栗東、美浦といった2つの管理地以外での地点があれば、中継地点として活用できる

重要でよく使われている外厩情報を一覧にしてまとめておきます。


ノーザンファーム天栄(てんえい)

tenei

住所:福島県岩瀬郡天栄村大字小川中曽根1(美浦郊外)

施設:屋外900m坂路(勾配4.5%→8%)、屋外1200m周回、角馬場2面。

厩舎:286馬房

開場:2011年

美浦郊外に位置するノーザンファーム育ちの馬が使える施設。美浦厩舎の天栄仕上げは有名。栗東近辺には使える外厩がたくさんあるが、美浦となるとやはりノーザンファームが一歩抜け出している。ここを使うことを前提にノーザンファーム産駒の美浦所属厩舎が好まれたりする。

なんと言ってもトレセンより勾配のきつい坂路で、厳しく鍛えることが出来る。

ノーザンファームしがらき

shigaraki

住所:滋賀県甲賀市信楽町神山6-1(栗東近郊)

施設:屋外800m直線坂路(勾配4.5%→8%)、屋外900m周回、角馬場2面。

厩舎:370馬房

開場:2010年

言わずと知れたノーザンファーム産駒が使える栗東近郊の外厩。栗東トレセンにも近く施設も整っていることからよく使われる。美浦厩舎xノーザンファームの馬が関西のビッグレースに向けて美浦トレセンではなくここで鍛えたりもする。

ノーザンファームは外厩として東西にしっかりした施設を持っていることが非常に大きい。こちらも坂路の勾配がきつい。

山元トレセン(やまもとトレセン)

yamamoto

住所:宮城県亘理郡山元町坂元字一ツ橋(美浦郊外)

施設:屋外750m坂路(最大勾配9%)、屋外1100m周回、角馬場1面、ゲート施設、トレッドミルなど。

厩舎:274馬房

開場:1992年

社台グループ傘下の外厩。社台ファーム生産馬、追分ファーム生産馬などが使う。宮城県に位置することから、北海道と本州を繋ぐ中継地点としても良く放牧先に選ばれる。

グリーンウッド(グリーンウッド・トレーニング)

greenwood

住所:滋賀県甲賀市甲南町稗谷1970(栗東近郊)

施設:屋根付き600m坂路(勾配3%)、屋外1000m周回。

厩舎:200馬房

開場:2001年

栗東近郊の外厩。社台系の栗東所属の馬がよく使う。外厩の先駆け的存在。天候に左右されない屋根付き坂路を有している。

吉澤ステーブルWEST(よしざわすてーぶるうぇすと)

yoshizawawest

住所:滋賀県甲賀市信楽町小川出418(栗東近郊)

施設:屋根付き700m坂路(ウッドチップ)、屋根付き500m周回(ダート)、角馬場、ゲート施設など。

厩舎:215馬房

開場:2012年

吉澤ステーブルはEAST,WESTと東西の外厩を用意している。かなり立派な外厩の一つ。

吉澤ステーブルEAST(よしざわすてーぶるいーすと)

yoshizawaeast

住所:〒300-0323 茨城県稲敷郡阿見町大字大形103(美浦近郊)

施設:周回800m/350(ダート)、坂路650m(ポリトラック)、ゲート、丸馬場、ウォーキングマシンなど。

厩舎:88馬房

開場:2013年

吉澤ステーブルの関東版。設備が綺麗。北海道と関西を繋ぐ中継地点としても活躍。

淡路トレーニングセンター(エミオンステーブル Awajiトレーニングセンター)

awajiemion

住所:兵庫県南あわじ市阿万東町(栗東郊外)

施設:1100m坂路(ウッドチップ、勾配3~5%)、プール50m、角馬場、ゲート施設など。

厩舎:162馬房

開場:2013年

淡路島南端の位置する外厩。雪が降らないメリットが有る。阪神競馬場から直接、牧場へ行くことも。距離の長い坂路が特徴でガンガン坂路で鍛える調教師が好みで使う。

チャンピョンズファーム淡路も利用している。チャンピオンヒルズが出来るまで?

宇治田原優駿ステーブル(うじたわらゆうしゅんステーブル)

ujitawara

住所:京都府綴喜郡宇治田原町大字郷之口小字豊前丈101(栗東近郊)

施設:870m坂路、800m坂路、周回600m(ダート)、周回620(ウッドチップ)。

厩舎:200馬房

開場:2002年

タガノの冠名の馬主八木良司氏によって設立。栗東近郊で栗東所属馬がよく利用する。

KSトレーニングセンター(けーえす)

kstc

住所:茨城県牛久市奥原町3498−7(美浦近郊)

施設:630m坂路、周回800m(ダート)、周回300m(ダート)、角馬場、丸馬場。

厩舎:8つの育成牧場が共同利用

開場:1999年

K2ステーブルなど複数の牧場が利用しているトレセン。中小の牧場が立ち代わり利用しているイメージ。

阿見トレーニングセンター(あみトレセン)

amitc

住所:茨城県稲敷郡阿見町福田174-5(美浦近郊)

施設:630m坂路、周回1200m(ダート)、角馬場、トレッドミル、ウォーキングマシン。

厩舎:100以上

開場:2015年

坂路コースがないことから、ダート馬がよく利用するイメージ。要は使い分けということなので非社台系の美浦近郊の重要な施設。

大山ヒルズ(だいせんひるず)

daisen

住所:鳥取県西伯郡伯耆町真野693−1(栗東郊外)

施設:800m坂路(ウッドチップ、勾配3~4%)、周回800m(ダート)、ゲート、ウォーキングマシンなど。

厩舎:156馬房

開場:2003年

ホームページの勝負服マークを見ても分かるように「ノースヒルズ」グループの育成トレセン。

松風馬事センター(まつかげばじせんたー)

matukaze

住所:茨城県稲敷郡美浦村大字受領1749(美浦近郊)

施設:周回800m(ダート)、周回坂路400m。

厩舎:150馬房程度

開場:2003年

しっかりした外厩のイメージがある。

ビッグレットファーム鉾田(びっくれっとふぁーむほこた)

bigred

住所:〒311-1514 茨城県鉾田市安塚880−34(美浦近郊)

施設:屋根付き坂路600m、トレッドミルなど。

厩舎:81馬房

開場:2007年

周回コースがない。ビックレットファームグループ御用達。ラフィアン、コスモ、ウインレーシングなど。

ミッドウェイファーム

midway

住所:〒311-3821 茨城県行方市蔵川603−44(美浦近郊)

施設:周回850m(ダート)、坂路、ウォーキングマシン。

厩舎:100馬房程度

開場:1998年

南関の外厩制度の登録馬房としても活用。ゴドルフィンの馬(ブルーの勝負服でおなじみ)などが利用。外国産馬の着地検疫としての施設が整っている理由がありそう。

山岡トレセン(やまおかとれせん)

yamaoka

住所:〒509-7603 岐阜県恵那市山岡町上手向1056−3(栗東郊外)

施設:周回700m(ウッドチップ)/周回500m(ダート、ゴムチップ)、坂路700m(ウッドチップ、勾配3.5~4.5%)、ウォーキングマシン。

厩舎:60馬房

日高生産など非社台系の馬が多く利用。専属調教師を採用するなど、人材的なものに秘訣。

高橋トレーニングセンター、高橋ステーブル

takahashitc

住所:〒300-0526 茨城県稲敷市松山 字遠原3094-20(美浦近郊)

施設:周回700m(ダート)/周回500m(ダート)、坂路400m(ウッドチップ)、ゲート、角馬場。

厩舎:?馬房

建築会社の社長が厩舎を作っていることから、環境が良い模様。

名張ホースランド、名張トレーニングセンター(なばり)

nabari

住所:三重県名張市滝之原26−1(栗東郊外)

施設:坂路700m(ウッドチップ)、角馬場、ゲート、逍遥馬道2km。

厩舎:100馬房

開場:2014年

栗東からやや遠い。逍遥馬道が特徴的、リラックスも含めて違った道を競走馬が歩けるのは転地効果もありそう。

チャンピオンヒルズ

2020年秋に滋賀県大津市に開場予定(360馬房)、坂路2本、1100mトラック2つ、角馬場、トレッドミルなどかなり巨大な外厩施設となる。

・その他、未チェック

ミホ分場

ケイアイファーム千葉

アカデミー牧場

信楽牧場

グリーンファーム甲南

ブルーステーブル

西山牧場阿見分場

小野瀬ファーム

栗山育成牧場

三重ホーストレセン

シンボリ牧場

アップヒル

アカデミー牧場

参考情報として最後に栗東トレセン、美浦トレセンの情報を載せておきます。

栗東トレセン(JRA栗東トレーニングセンター、りっとう)

ritto

住所:滋賀県栗東市御園1028

施設:Aコース(障害、芝1,450m)、Bコース(ダート1600m)、Cコース(ウッドチップ1800m)、Dコース(芝1950m、ポリトラック2038m)、Eコース(ダート2200m、ゲート試験施設)、坂路(1085m、勾配2%~4.5%)、プール(1周50m)

厩舎:2,312馬房

さすがトレセンです。規模が違います。特に馬房数が多く、人も多くトレセン村が出来上がっていますね。コースも競馬場のような形をしています。

美浦トレセン(JRA美浦トレーニングセンター、みほ)

miho

住所:茨城県稲敷郡美浦村大字美駒2500−2

施設:南Aコース(ダート1,370m)、南Bコース(ダート1600m)、南Cコース(内・芝1800m、外・ポリトラック1800m)、南Dコース(ウッドチップ芝2,000m)、北Aコース(内・ダート1,370m、外・障害専用1,370m)、北Bコース(ダート1600m)、北Cコース(ダート1800m)、坂路(1200m、勾配3%メイン)、プール、ウォータートレッドミル、森林馬道

厩舎:2,652馬房

馬房数は栗東よりも美浦のほうが多く、北と南の2つの周回コースがあります。こちらも規模が大きくトレセン村を形成しています。新林道やウォータートレッドミルなど施設面でも充実しています。ただ、坂路の勾配が3%の部分が少しと負荷をかけるには楽なコースが多いと言われています。