デアリングタクトが無事に史上初の快挙を成し遂げてくれました。正直、一番強くて一番勝てる可能性があると思っていても競馬に絶対はありません。レース前の一時単勝オッズ1.1倍には驚きましたし、秋華賞ウィークの1週間はスポーツ紙やTVなどの盛り上がりように冷静に冷静に出資者としては喜びながら情報を得ていました。

終わってみると「ホッとしたというのが正直な気持ち」で、桜花賞やオークスの時のような大声を上げて応援して喜ぶような状況ではなく、直線で相手が追いつかないと分かった瞬間、「ヨシッ!」という一声でその快挙を噛み締めていました。

今回ばかりはメディアでも大きく取り上げられ、多くの競馬ファンにとって注目の的であって、多くの方が快挙に息を呑んだ瞬間ではないでしょうか?「ありがとう」と「拍手」で精一杯讃えられたらと思います。

いろいろな方の感想であったりドラマはさんざん多方面で出てくるでしょうし、このページでは一出資者としての思いと見方を残せておければと思います。

10/18(日)京都・秋華賞(G1・芝2000m・牝)松山弘平騎手 優勝!

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枠順が7枠13番になった瞬間。これは「横綱相撲」で勝ち切るしかないなと思っていました。そして実際のレースでも松山騎手はそのスムーズなレースをやってのけてくれました。昔から若手の中では「松山騎手」が乗ってくれたら本当に嬉しいと思うほど上手な騎手だと思ってましたが、桜花賞・オークスの経験を踏まえて一皮むけた秋華賞の騎乗だったのではないでしょうか?

レース後のガッツポーズやトリプルクラウンの3本の指を立てたポーズからも、今回は騎手としてもしっかり仕事をやってのけた感を感じました。

データ的な結果を見てみると、流石に今回は上り1位の記録にはなりませんでしたが、外々を回って引きつけて直線真っ向勝負をするという、まさに求めていた横綱相撲で勝ちきっています。

いつものように映像を切り取ってレースを振り返ってみたいと思います。

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パドックでは相当チャカついていたこともあって心配なスタートでした。やはり今回のレースは休養明けというのも大きなポイントです。5ヶ月ぶりのぶっつけ本番レースです。

ただ、スタートは問題なく出たと思っています。上手ではないけど出たなりでした。結果的に外目の枠で良かったと思います。

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先行する馬たちの後ろにつけることで結局は1コーナー、2コーナーを回ったところでは外目の13番手というポジションでした。やや後ろですが、松山騎手は包まれない外目をキープすることを選んでいましたね。

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コーナーワークでやはり距離損もあるため、少し後方ポジションになります。でも、それでも勝てる能力を信じていたと思います。今回は他馬もデアリングタクトを意識して前で勝負、マークして勝負の馬は非常に多かったと思います。

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先頭が1000mを進むあたりでジリジリと外目を押し上げる競馬をしました。馬のリズムは決して損なうことなく、でもここである程度前目に行きたいということで好判断の騎乗ですね。

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3~4コーナーでも外のスペースを塞がれないように、徐々に前に出ています。

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4コーナー手前の瞬間です。一気にペースが上がる瞬間ですが、ここで反応が少し鈍いような気がしました。後方でデアリングタクトをマークしていた馬たちも外から押し寄せてきています。好位にリアアメリアあたりもここで外に持ち出す騎乗。逆に内で溜めていた馬たちは進路がなくなっていましたね。

デアリングタクトがもし内枠だったら、全く違う競馬だったかもしれないと思うとやはり競馬は枠順決まってレース展開で大きく結果が変わるなと感じた瞬間です。

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4コーナーではほぼ先頭に立っていました。松山騎手の腕はまだ少し引きつけているような格好。前の壁はないので後は馬の能力がすっと出れば勝てるのでしょうが、休養明けですし向こう正面から足を使って出入りの激しい競馬でもあったので、脚が残っているのか見ている方は心配でした。

この絵だけ切り取ると、外の馬のほうが伸びたら差し切りそうですね。

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しかしそんな心配は無用でした。外の馬の追撃も振り切り、内から抵抗するマジックキャッスルも振り切りました。本当にここは馬の能力だと思います。そして、今回はその馬の能力を共に4戦して信用している松山騎手の好騎乗も光ったと思います。

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秋華賞というのはそれほど着差をつけて勝てるようなレースではありません。それでもゴール前では安心して見られるような快勝。やはり強い馬だなというのが率直な気持ちです。

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ゴール後の3つの指を立てるポーズが出来たのは、松山騎手も今回は納得の騎乗だったのでしょう。オークスは色々あってレース後「へなへな」になっていました。それぐらい重圧の凄さなんだと思います。今回の秋華賞は世間の盛り上がりや「史上初無敗牝馬三冠」というものが付いたせいで重圧の大きさがあったと思いますが、松山騎手にとっては桜花賞・オークスで馬の能力の高さに助けてもらったという意識もあって、その重圧を払いのけられたかもしれません。

それだけ求めていた、今までとは違う横綱相撲のレースをやってのけたと思います。

クラブ向けのコメントは、他のメディアでも取り上げられているのですが、やはりレース前のテンションの高さは陣営はかなり気にしていたようです。このテンションの高さは反動を気にしており、次走は馬の状態を見つつ検討することになりそうです。

今回ばかりは記録が掛かっていたので、究極の仕上げで、究極の横綱レースをしたと思っています。確かに見えない疲れなど、次走は要注意となりそうです。とりあえず快挙達成ということで重圧の厳しさから開放されて、これからは再びチャレンジャーとして今後も無事にレースを楽しませてくれたらと思います

今年は出来て後2戦でしょうか?負けるところが見たいわけではないですが、負けることで強くなるという岡田牧雄さんの言葉は私もそのとおりだと思っています。強い相手にぶつかっていいレースが今後も見たい。という競馬ファンの率直な思いです。

それにしてもデアリングタクトは日高が産んだスターですが、血統は社台の血がしっかり入っています。募集額などが安く、まさに「シンデレラストーリー」という言葉がぴったりです。

私は圧倒的な強さの名馬と言われる馬よりもブロンズコレクターや最強のライバル馬みたいな馬のほうがファンになることが多いのですが、デアリングタクトの出資者になれたことで、素直に圧倒的な強さの馬も好きになりました。

もう間違いなく一番好きな馬は「デアリングタクト」です。これからも競馬の歴史は続きます。そんな中、私がデアリングタクトの一口馬主であることを嬉しく感じながら、競馬を楽しみ続けたいと思います。